
会議室で、営業部長が腕を組んだまま、こう言いました。
「俺はアナログやから、そういうの、わからへんわ。」
その瞬間、いやーな気持ちになったのを、今でも覚えています。
こんにちは、ざっきーです。
iPadの提案が、一言で終わった日
あれは、iPadが出始めた頃の話です。
会議で、私はこんな提案をしました。
「これ、営業マンに持たせたら、めちゃくちゃ便利じゃないですか?」
カタログも資料も全部入る。
お客さんの前でサッと見せられる。
重たいファイルを持ち歩かなくていいし、契約書の確認だって、その場でできる。
今思い返しても、いい提案だったと思います。
実際、周りの反応も悪くなかった。
でも、そのときです。
部長が、さっきの言葉を続けました。
「俺、アナログやから、そういうのわからへんわ。それに、そんなん使わんでも、俺はちゃんと仕事取れてるから…」
その一言で、提案は終わりました。
『ダメやこの人、上に立つ人じゃない…』
ITが苦手なのは知ってたので、なんとなく予想はしてたんです。
ただ、もう少し詳しく話を聞くとか、少しくらい関心を持ってくれてもいいのに…。
部長の決定は絶対で、反論しても空気が悪くなるだけ。
私は黙って、その場を離れました。
結局、その会社は辞めました。
あれから何年も経ちました。
今、iPadのような道具を使っていない営業マンって、ほとんどいませんよね。
紙のカタログを何冊も抱えて打ち合わせに行く光景も、見なくなりました。
やっぱり、あのとき導入してたら良かったのに。
もうどうでもいいんですけど、いまだに思い出しちゃいますね。
部長は「レッテル貼り」をしていた
ただ、あの出来事を振り返ってみると、今は少し違う見え方をしています。
あの部長、認知のゆがみ(物事の受け止め方のクセ)のひとつ、「レッテル貼り」をしてたなって思うんですよね。
たぶん過去に、デジタルの道具でつまずいた経験があった。
自分だけ手が止まって、部下に教えてもらうことになって、プライドが傷ついた。
そのとき、心の中で決めてしまった。
「俺はアナログ人間や。」
そう言ってしまえば、もう学ばなくていい。
恥もかかなくていい。
レッテルって、楽なんです。
貼った瞬間に、努力しなくていい理由ができる。
認知行動療法(考え方のクセをほどいて、気持ちを楽にする心理療法)では、こうやってうまくいかなかった出来事を「自分という人間の評価」にすり替えてしまうことを、「レッテル貼り」と呼びます。
これ、なんとなく分かりますよね?
「どうせ今さら」も、レッテルかもしれない
しかもこのクセ、特別な人だけが持っているものじゃありません。
想像がつくと思いますけど、これって部長だけの話じゃないんです。
私たちも、知らないうちに自分にレッテルを貼ってしまう。
たとえば、
「自分は続かない性格だから」
「今さら始めても遅いから」
そう言って、何かに挑戦する前から手を止めてしまう。
それって、本当に性格の問題でしょうか?
もしかしたら、どこかで貼ってしまったレッテルかもしれません。
偉そうに語ってる私も、ずっとやってました
……と、ここまで書いておいてなんですが。
これ、偉そうに語ってる私自身も、ずっとやってましたね💦
「自分は営業に向いてへんから」
そう言って、学ぶことから逃げてただけ。
もしあの頃、ちゃんと営業を学んでいたら、今、新しいことを始めようとしているときに感じている不安の半分は、なかったかもしれません。
レッテル貼りって、失敗から守ってくれる代わりに、成長の機会も一緒に奪っていくんですよ。
これが怖い…。
しかも厄介なのは、そのことに自分では気づけないところ。
あなたも、知らないうちにレッテルを貼って、本当は取れたはずの選択肢を避けちゃってませんか?
もし少しでも思い当たるところがあったら、この記事が、そのレッテルをはがすきっかけになれば嬉しいです。
ではでは。

